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豪商達の夢の余韻に浸る。-富山市クラフトビール『Kobo Brew Pub』

富山湾に面する東岩瀬地区は北前船の寄港地で、船主である北前船廻船問屋が立ち並び、街並みには今も往時の栄華が色濃く滲む。


並ぶ商家の中でも馬場家は森家と並ぶ二大大店の一つで、復元・保存されている屋敷を見ると如何に大商いであったかが偲ばれる。

少しでもあやかれればと屋敷を見学させて頂いたが、頗る豪壮ではあるものの店前から奥座敷に至るまで遊び、装飾といったものが無く、凛とした緊張感が隅々に漲る屋敷であった。

凡そ、これ程の規模と歴史を重ね、御用商売も担っていた大店ならば、奥には瀟洒な意匠、或いは貴人や店主仲間を招く茶室などがあってもおかしく無いが、こと馬場家については徹頭徹尾、質実剛健で商家というより武家の屋敷が如く雰囲気を醸す。

恐らく廻船問屋という商いの性質上、海難始めとするリスクが付き纏い、常在戦場の心持ちであったのではないだろうか。

さて現在、馬場家の頑強で壮大な米蔵はクラフトビールの製造とビアパブとして活用されており、非常に出来の良いビールを楽しめる。

馬場家は富山の社会資本の充実に力を注ぎ、とりわけ教育分野に於いて多大な貢献をされた事を伝え聞く。

社会貢献を旨とする、非常に公益性の高い家業であり、当主不在の屋敷が今尚発する清廉な気も、そんな歴代当主の魂故かもしれない。

ビール製造と現在の馬場家の関連は定かでは無いが、古の当主に想いを馳せながら、ビールを頂くのも感慨深い。



富山市『KoboBrewPub』







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