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糀マスターが醸す和歌山クラフトビール




南海・和歌山市駅前、

「ORYZAE BREWING」。


今どき地方の小規模なブリュワリー、クラフトビールなど珍しくも無く、どちらかと言えば「ハズレ」も多い昨今ですが、こちらは一味違います。


その最大の違いは原料に「麦芽」を使わないと言うこと。

それじゃあビールでないんと違うの?いや、ごもっとも、でもまあ、最後までお話しを。


さてビールの製法について超短縮・大雑把に言うと、まず麦を発芽・発酵させる事で、自身の酵素によって「でんぷん」を「糖」に変える糖化という作用を生じさせ、その麦芽を原料に酵母を加える事で酵母が糖を食べてアルコールを生成する事で出来るというもの(焙煎とかホップとかの説明は省略しました)。


麦芽って日常生活に余り馴染みないかもですが、世の中には「麦芽糖」というものもあり(伝統的な水飴なんかがそうですね)、昭和世代の垂涎の飲み物、「強い子のミロ」でお馴染みの麦芽飲料なんていうものもありますよね。麦芽には、それだけしっかりした糖分があるという証です。


それでこちらのブリュワリーはというと、その麦芽を敢えて用いず、我が国伝来の麹菌(オリゼー)による糖化作用(麹菌がでんぷんをバクバク食べて、糖といううんちをするイメージかな?)で代替させた麦麹、或いは米麹にビール酵母を加えて醸す(ビール酵母が糖をバクバク食べて、アルコールといううんちをするイメージ)と言う変わり種。

ひらたく言えば、麦を発芽させて糖化する代わりに、麦や米を原料に麹で甘酒を作って、そこに酵母を加えて発酵させると言う、換骨奪胎的なビール造を行なっているのです。


ご主人(マスター?オーナー?)はお忙しく一人で全行程を担っておられるので少ししかお話しできませんでしたが、まず和歌山湯浅の醤油蔵をスタートに、九州の麦味噌蔵、日本酒の醸造蔵と、そのキャリアを麹菌と共に歩んで来られた、Mr.オリゼーみたいな方。麹好きとしては、羨望の眼差しを向けずには折れない御仁。

ビール醸造の経験は無かったらしいのですが、その工程を聞きおよび「だったら麹で出来るんじゃね」と閃き、「他にやってる人も居ないっぽいかったので」とビール醸造の世界に飛び込んだのだそうです。

世の中には面白い人、いっぱいいますね。


ご主人の目下の悩みは「麦芽を使わず、麹で」と言っても関心を示す人が少ない事。

「お酒好きのおじさんとかは興味持ってくれるんですけど」

うーん、確かに。和歌山城のお花見のカップルや女子グループは「何のこっちゃ」で素通りしていくのだそうです。


ただ、このビール。小難しいことは何もわからなくとも、味わいの違いははっきりわかります。

根底に麹感、豊かで奥行きある土壌の上に立つビールの華やかさ、爽快感。非常に立体的、3Dな味わいです。

定番の三銘柄をベースに様々な趣向の新ビールにも出会えます。

オリゼーファンも、そうでない人も、味わうべき和歌山クラフトビール、ここにありますよ〜。


ORYZAE BREWING


#ORYZAE BREWING