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伊勢の夜、伝説のBAR『ふぁん』を憶って。

伊勢、伝説のBar「ふぁん」さんが閉業して久しいが、幸運な事に、たった1回訪れる機会に恵まれた。


それは全くの偶然。


「一月家」で独り飲っていた時、隣り合わせた地元の紳士に、いい寒ブリが入ったからとの事で誘われ、違う店でご馳走になった帰り途。

「おっ、今日はやってる!もう一軒、いいですか?」と誘われるままにドアを潜ったのが「ふぁん」さん。


元々はトリスバーとして出発したのだそうで、その雰囲気は店内随所から感じ取れたが、黎明期を開拓し独自に深化したお店のようだった。


マスターは相当ご高齢の様子であったが、誘って頂いた紳士の求めに応じて、ひょいひょいとひっぱり出すお酒のエゲツない素晴らしさに驚嘆。


僕は、ウイスキーの事は全く明るくないので、それらのお酒の正確な価値や謂れはわからなかったが、それらが一般に目にする事がないもので、その味わいが只物でない事はよくわかった。


比較にと紳士の制止を聞かず、飲み慣れているジャックダニエルをオーダーしてみたが、横並びにしてみると、これが全く話にならない。


「ほら、言ったでしょう」


紳士の憐憫の目が忘れられないが、誠に知る事は喜びでもあり、罪でもある。


今思えば、マスターも紳士も相当な御仁だったのだろう。よくぞ声を掛けて頂けた。


それから数年、伊勢に来る度に覗いて見たが、そのドアを潜る事は出来無かった。

今は何やら大層にプロデュースされた立派な箱がその後に建っている。

伊勢市駅近くの「Bar Recipe」さんは隠れ家感満載のバー。

「ふぁん」さんとは全く趣きを異にするが、洗練の中にも柔らかさが滲む空間が心地よい。

フロアにニッセンストーヴが一つ、周囲をぼんやり照らす。その柔らかな炎に見惚れていたら、マスターの目に留まったのか、色々ストーブの話をしてくれた。


曰く、

ホヤの掃除は必須。

灯芯の交換は繊細さを極める。

空焚きすると灯芯とホヤが煤だらけに。

真鍮のボディは錆びる。

つまりは手が掛かる。


上記を踏まえても、それ以上に満足度は上回る。

という事らしいが熱弁であった。


日常の手入れやメンテナンスに辟易して、メルカリなどに煤だらけの状態で出回っているから、今すぐ購入する事を強く勧めて頂いた。

これも千載一遇。

また今度、は巡って来ない良縁だろうから、ストーブの中古を物色している。






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