ちょっと不思議な話。 長崎県五島列島福江島。
そこは家内の義叔母にあたる人の出身地で
うん十年前、家内が小学校三年生の頃に一度だけ訪れた事があったのだそう。
今もそうなのかどうか、当時の福江島はどこまでも高い空と澄み切った海に囲まれたそれはそれは美しい島であったそうで、海も山もない都会からきた幼い彼女は島へと向かう小さな船でらんらんと目を輝かせていたらしい。
そして着岸。親戚の大人達に手を引かれ、島に降り立ったその時の事。
「よっちゃん!よっちゃん!」
全く知らない、見たこともない、
同じ年位の女の子が
やけに親しげに自分の名を呼び近づいてくる。
「よっちゃん!よっちゃん!」
(だれだろう、この子?)
当惑する彼女にお構いなしで、どれだけ待ち侘びていたか、体一杯表現するように
「よっちゃん!よっちゃん!」
と繰り返す少女。
不思議な事に、周りの大人達はまるでその子が見えていないかのように立ち止まることもなく、気にかける素振りも見せず、迎えの車にそそくさと乗り込み、彼女も車の中へと押し込まれ、その子と一言も交わさぬまま港を後にしたのだそう。
それから一週間ほど、彼女達一行は島の親戚宅に滞在したのだそうだが、あの子を見かける事は終ぞ無かったのだそうだ。
「あれは何やったんやろ?」
数十年経った今も彼女は時おり、あの時の不思議な女の子の事を思い出しては不思議がる。
何を話したかったのか。
今、尋ねても彼女はいるのか。
同じように歳を重ねているのか、
それとも・・・。
なぜ、その時、一言だけでも言葉を交わしてあげなかったのか。
そもそも、、、何なのか。
もう一度訪れても、いいものか。
こういう事って、ある話しなの?
気になる不思議。
#義母愛子
#見える人