お宝発見!
5年前に母が亡くなって以来、空き家となっていた実家を重い腰を上げて片付けた。
いろんなものが出てくる、出てくる。
残念ながら、そんなに価値のあるお宝はなかったが、脇差と刀身一振りづつが出てきた。
脇差の方は無名で、刀身の方は徳川家のお抱え刀鍛冶であった「康継」の銘と葵紋が。
「これはもしや」
と思い調べたところ、「康継」と言うのは、その初代が「康」の字を賜るほど家康公の覚えめでたく、二代目までの業物は評価が非常に高いらしいが、3代目でお家が分裂。以降、葵紋に胡座をかいたのか、刀も凡庸となり評価も低いらしい。残念ながら、我が家のお宝はその時期のもののようであった。
代を重ね、名と外見は同じように見えてもスピリットが腐り果て似て非なるものに成り果てるというのは昔も今もよくある話で、それだけ名と魂を繋いでいくというのは至難の事業なのだろう。
さてお宝の顛末であるが、警察に連絡し引き取って貰った。最終的には溶解されるのだそうだ。 うちの場合はごく普通の家であるが、田舎の大きな旧家の片付けなどでは刀剣が出てくるのも珍しくないのだそうで、訪問頂いた警官もいたって穏便な対応だった。
勿論、私有財産なので手続きを踏めば継続して所有する事は可能で、正式に売却すれば多少の金銭になったかもしれない。 が、「持っていたくない」と言う気持ちが先立った。
古く心騒がぬものに、手と心を煩わすのは多少の益あっても人生のマイナス。 ばっさばっさと切り捨てて、心躍るものを求めていきたい。
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