松葉信吾

広島市内で牡蠣巡礼。

一軒目。鉄板焼屋さんで「牡蠣醤油バター」

広島ちゅうたら、牡蠣やけぇ。
 
ということで、明日からの牡蠣生産者取材に備え、広島市内の牡蠣料理を採取しております。
 
広島は牡蠣生産量も断トツ一位で、消費量もこれまた断トツ一位。一体、どんな風に食されておるのかを撮影しながらのリサーチ。
 
まずは数多いお好み焼き屋さんから二軒。
 
名物、広島焼きには目もくれず牡蠣オンリーの注文。
 

「お客さん、牡蠣好きやねぇ」
 

いや、そうでも無いけん、一応仕事じゃけぇ。
 


 

二軒目。グリルで「牡蠣ソテー」そして「牡蠣アヒージョ」

牡蠣とキノコ、そしてオイルはゴールデントリオ。
 

牡蠣というのは、全く動かず、従って物理的に動くための筋肉がわずかしかない。で、体のほとんどが内蔵で一日に約240リットルもの海水を吸い込んでは、そのミネラルや栄養分を蓄積していって大きくなるというもの。言ってみれば海のエキスの貯蔵庫、「海のミルク」と言われる所以ですな。
 
一方、キノコも自分では産することなく、基本的には何かに寄生し、その滋養をひたすら吸収して成長。これも山のエキスの貯蔵庫。
 
海のエキスと山のエキス、これを合わせれば深〜い味わいになるのだと妙に納得しました。
 

三軒目。ご当地オイスターバー。
 

他のお客さんの邪魔にならぬよう、開店直後の午後4時過ぎにお邪魔したが、そこには既に先客のカップルが。
 
まだ日も高いのに、生牡蠣と白ワイン、そしてアイコンタクト。
 
なんじゃ、こいつらは!羨ましすぎる。


 
もし、「セクシーな食べ物選手権」があったとしたら、 生牡蠣は精肉や鴨肉なんかと並んでトップクラスだろうと思う。 精肉がアメリカングラマー的なやや人工的な魅力だとすると、生牡蠣はもっと根源的な艶かしさ。縄文的というか、シャーマン的というか、タロウ的エロスというか。全てを包括する海そのものというか、まぁわかりにくいですかね。

「大阪では生牡蠣ってみなさん食べますか?」
 

一般的には季節の到来ものとして程度にというのが回答として正しいと思うが、ご当地広島ではなんと「生牡蠣を食べる習慣はないんです」とのこと。

あら、そうなの?と思うけれど、これ、最も生牡蠣を食べてほしいオイスターバーのマスターの話だから確実なんでしょう。
 
「酢牡蠣とかソテーとか牡蠣飯とかですね。焼き牡蠣っていうのは外で食べるものですね」
 
どうやら古来からの牡蠣産地故に牡蠣は加熱するもの、調理するもの、というのが染み付いてるらしい。
 
因みに、お好み焼き(いわゆる広島焼き)も、「外で食べるもの」なんだとか。「有名な店よりも、夜中にやってる近所の人が通う店がうまかったりするんですよ」とはよくある話。
 
4件目、和食ちっくな牡蠣料理の採取をと予定していたが、こりゃ無理だな。

ごちそうさま。
 

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